感覚が運動プログラムを修正し動作をリファイン
する
若田光一さんが宇宙から帰られて、地球ではコップが思うように持ち上げられなかったそうです。 私 たちは歯を磨くにも逆の手では難しい、すべて練習によってプログラムされて初
めて まともな行動がとれる。 生まれ落ちた環境がどんな環境であっても、例え宇宙で あっても適応していけるようになっている。 すべて生まれてからプログラムされる、赤ちゃんの行動を見ればすぐわかるように、習うより慣れろ、すなわちどんなことでもその環境で自分でやってみて習得しなければ何も出来ないように仕組まれ
てい る。
そして、やってみれば、全知全能の神がコーチ役を引き受け、動きを見守りプ
ログ
ラムを修正、次の機会によりリファインした動きを実現する。 コーチの正体は、自
然界の美しさ、プロの技を一瞬の内に見抜く、自分自身の感覚。 トライする度
に洗 練される運動は、感覚の中に秘められた究極の運動に限りなく近づく。
この仕組みにより、何事も努力すれば神業の域に達することができる。
単に物を持ち上げるだけの行為も綿密にプログラムされている必要がある。 スカを食うという言葉が
有りますが、単にものを持ち上げるだけでもその物の重さ、剛性、表面性状など
全て
が事前に分かっていなければ巧く行えない。 巧く持ち上がったかどうか、プログラ
ムの良し悪し/出来具合は感覚によって評価される。
運動は、敵から逃げたり餌をとったり命に関わる重要な行為なので、これに関
わる
視覚、聴覚、触覚、運動感覚、力覚などの感覚は正確に物理量と1対1に対応してい
る必要がある。
この感覚の世界を物理量の世界に変える手段は19世
紀の生理学者
Ernst Heinrich
Weber (1795 - 1878) が
物理量の式で提供してくれています。
感覚と物理量との対応関係を示すWeber's Law(ウェー
バーの法則) ΔS/S=C
一定 、この式は感じ取れる最小の変化量が現在値に比例することを表しているが、放
射性物質の崩壊、熱せられた物体の冷却など自然界の非常に基本的な現象と同じ
式の形をとる。 感覚も単純な単なる物理法則に従った自然現象としての存
在に なるのでは。
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