車の運転とDriver Model Bio-Motion Control Equation 運動方程式 車の運転のモデル化 Driving Examples 強US車両の挙動 運転行為/Weber則関連 バイモ研 弱US車両の挙動 車の運転の物理 Bio-Motion Equation の環境対応、具体的なパラメータ例 Human-Motion Control Model Skilled 逆モデルによるドライバーモデル

生き物の運動制御と車の運転



車の運転の物理 運転の仕組み



運転行為を分解して考える


見る 空間把握 一点注視


ガゼルの頭部に注目


急激な方向転換をするガゼルですが、注目は、身体は真横になっているのに、頭部は身体がまっすぐの時の状態と変わらないままです。


一点注視 頭部を安定
                         「動物の狩りの百科」今泉忠明著 データハウス

 次の写真ではチータですが同じように頭は真っ直ぐです。 

身体がどこを向いていようとも疾走中は頭がほとんど動かないと言うことです。 
 ダチョウが疾走するときは、激しい体の動きに対して長い首がゆらゆら、くねくねして体の動きを吸収して頭を動かしません。


一点注視 頭部を安定
                            「おきて」岩合光昭著 小学館

一点注視


我々の眼は常に一点を注視、ほ乳類はもとより昆虫まですべての生き物の眼は次の二つの眼球運動もしくはこれに準ずるシステムで物を見ていると思われる。

 

生理学の教えるところによると、

    ①Saccade(サッケイド:跳躍的に視点を移動する眼球運動)振幅0.2度~40度 速度30度/s~700度/s

    ②Smooth Pursuit(スムーズパーシュート:移動する目標に滑らかに追従する眼球運動)Max 30 度/sec 


の二つの眼球運動で視界を確保している。
 

視点を瞬間的に移動するサッケイドが起こる直前40ms前に瞬間的にsaccadic suppress(サッケイディック サプレス)で像を抑圧して、視線移動中に像が流れないようにしている。 これにより、我々は視線を変えても、下手なビデオ撮影の様に像が流れることが無い。 視線を移しても網膜上の像は、いきなり見たいと思った像に切り替わり、決して流れることがない。次のSaccade(サッケイド)まで200msの回復期間を要する。 アイカメラの映像で視点の移動が見られますが、この移動がサッケイドです。

アイカメラの映像を見ても分かるように、我々は常に一点を注視し、一点一点をジャンプ移動しながら物を見ていることになる。 視点のジャンプ移動のサッケイド中は像が抑制されるので、物が見えるのは一点注視中だけで、流しては物が見られない仕組みになっている。 連続的にコースをなぞって見ることは出来ない。

流れている滝の水を見ようと思ったら滝の落下に合わせて首も使って視線を上に素早く(サッケイド)下に落下に合わせて(パーシュート)動かさなければならないOpto-kinetic nystagmus。
 走行中の運転者は前方の景色に対して常にこれを行っている。 Smooth Pursuit(スムーズパーシュート)している前方の注視点が近づいてくると視線をSaccade(サッケイド)で遠くに視点を移して、これをSmooth Pursuit(スムーズパーシュート)で注視し、これが近づいてくると再びSaccade(サッケイド)で遠くに視点を移す、これの繰り返し。 カーブも直線も全く同じ。


動くボールを追うSmooth Pursuit(スムーズパーシュート)例

松井の頭部の運動も含めたボールを追うSmooth Pursuit(スムーズパーシュート)
松井の頭部の運動も含めたボールを追うSmooth Pursuit(スムーズパーシュート)中日新聞2009-11-6


イチローの頭部の運動も含めたボールを追うSmooth Pursuit(スムーズパーシュート) border=
イチローの頭部の運動も含めたボールを追うSmooth Pursuit(スムーズパーシュート)中日新聞2005-3-30




車の運転ではボールが止まっていて動く自分がそれを追うSmooth Pursuit(スムーズパーシュート)

コーナリング時の一点注視


カーブ旋回時の視線の様子を例に挙げると、次の図の様になっている。
車の進行に応じて例えば注視点は図のように注視点1,注視点2、注視点3とサッケードで順次移っていく。 saccade(サッケイド)間隔は0.2秒以上。
横滑りで車両姿勢が大きく変われば首を回してでも注視点を見続ける必要がある。 練習して車両のヨー特性を習得していないと、スライド時に首と眼が付いていけず視線を注視点に固定できず、まともな運転が出来なくなり、最悪スピンかコースアウト。
コーナリング中の一点注視とサッケイド
コーナリング中の一点注視とサッケイド
コーナリング中の一点注視とサッケイド



 頭部と眼球を動かして網膜に前方環境の像を固定出来るとは、例えて言うと、揺れる車の中でビデオカメラを構えて前方を撮影中に、身体とカメラを支える腕でバランスを取ってビデオカメラのビューファインダーに写る像が車の揺れにも関わらず静止した状態に保っておけると言うことです。 車の揺れに合わせてビデオカメラの方向を正確に前方の一点にいつも向けておかなければならないわけです。

限界付近の速度でカーブに進入して、思った様に車が横になって旋回できたときは、旋回中の視界が非常に安定していて、巧く旋回できなかったときは画面が揺れて安定しなかったことを経験されている方もみえると思います。 練習によって車の旋回時の姿勢を身体が習得していれば、一点注視が巧く行き、非常に安定した視界の中で運転を続けることが出来るわけです。 スピンするところまでの練習が必要となる。

 ピッチングが起こる車は、何もしないで真っ直ぐ走っているだけでも、視界を安定させるのに常に眼球・頭が動くことになり、最低の車と言うことになります。





感覚の法則:Weberの法則から導かれる生理的に快適な運動α

α:
 x" = a - C x'  これは、前に述べているように環境駆動の運動の逆モデルでもある 



運転の善し悪しは、宇宙船に乗っている人の身になるとよく分かる 
Space Ship start Accelerate Decelerate Stop


 中に乗っている宇宙人は慣性を感じるので、乗り物に加わる力のパタンが重要

ベテラン宇宙人が運転すれば、これが彼らに快適な力のパタン
αになる。

 人の場合は 
x" = a - C x' 







運転の物理

それでは車の運転の、実際の運動に関わる説明に入ります



運転は無意識にしていることも多く、どうやって車を運転しているのか、分かっているようで分からない。 漠然とは分かっているつもりの運転行為を、具体的な物理的行為に分解してみると次のようになります。

 運転を一言で言えば、次々現れる目前の交通環境での見込み運動状態量をパラメーターとして、そのパラメータで動く生き物(人)の運動αを、順次車の運動で実現する。

人の逆モデルと車の逆モデルで、環境を見込んだ環境駆動の運動を行う


 先ず前方環境の把握、乗っている車の揺れに合わせて眼球さらには頭を動かし網膜上の像を静止させ前方視界を確保して、自分の相対的な空間位置および交通環境を把握する。
 

秒速10m以上で、1トン以上もある鉄の塊を思い通り滑らかに動かすには、前方の交通環境の推移が正確に先読み通りで、運動の全体が事前に準備されている必要がある。 事前に準備された運動の全体に沿って、前後方向および左右方向の加速度をステアリング、アクセル、ブレーキでコントロールして、環境に到達した時に予め決めた運動状態を実現することになります。 
 ステアリングを切り、ブレーキを操作すれば車が揺れる、この揺れは不快ですから、そのコントロールには運転者および同乗者に快適な滑らかさが要求される。
 

 すなわち、不本意に揺れる車の中でも視界を安定させ自分の空間位置を把握し、交通環境に合わせた速度コントロールで安全を確保する。 さらに中に乗っている人に快適な様に、人間の生理特性に合わせて、滑らかに走らせる必要があります。





運転行為の分解: 車両特性に適合  交通環境に適合  人間特性に適合

運転行為を三つの要素に分解
運転行為を三つの要素に分解
運転行為を三つの要素に分解


車両の運動までの運転行為を具体的に記述


 車の揺れを補償する眼球運動により固定された網膜上の像から判断・決定された、前方環境での見込み運動状態量がそのままタスク指示値(X、X’)となる。 前方環境での見込まれる運動状態は、これから実現される状態量である積分時間の要する 速度X'、変位Xとなる。
 このタスク(X、X’)実現のための人間生理に基づく滑らか運動加速度(X”)パターンを人の運動逆モデルから求め、これを実現するための操作Iが、体に覚え込んだ車両逆モデルから得られる。 この操作Iにより車両運動X”が実現し、積分時間を経てタスク指示値(X、X’)の実現となる。
 この運動状態を実現するリアルタイムのコントロール量である加速度のパターンは、体内プログラム(人の運動逆モデル)による滑らかパターン
人の運動逆モデルによる見込み運動




人の運動逆モデルによる見込み運動


人の運動制御、人の運動逆モデルによる見込み運動


人の運動制御過程: 脳内プログラム運動指令と物理運動





環境-対環境運動逆モデル-車逆モデル-I.F.含む身体運動逆モデル-手足-I.F.-車-運動








運転意図の実現   練習により車両ダイナミックスを身体に取り込む


 運動意図を、車の運動として実現するためには、運転者は車はどう操作したらどう動くのか良く知っている必要がある。 運動を実現する操作を得る車両逆モデルが、運転練習により身体の中に作られていないと巧く運転できない。
 運転するには誰でも身体内に車両の逆モデルを作らなければならないので、車の特性が人にとってシンプルに作られている程、その車は巧く運転できることになる。 ロールアンダーとかブレーキのビルドアップとかの小細工がしてあると、思い通りの滑らかな運転には都合が悪いことになる。 色々な良いと思われることが組み込まれた車でも、運転者がこの逆モデルを巧く作れないので、そんな車を思い通り動かすことは難しい。 
各操作系逆モデル
各操作系逆モデル
各操作系逆モデル


Practice & Adaptation to Vehicle Dynamics


Basic driver control dynamics to the task demand result from sensory/motor characteristics and adaptation to the vehicle dynamics.
逆モデル Adaptation to Vehicle Dynamics
快適な加速度コントロールができるには:
 操作系が巧く出来ていると言う前提。 予定した車両加速度を生じるのに必要な操作が逆モデルから正確に導かれても、最終的にはアクセル、ブレーキ、ステアリングの操作入力が常識的な範囲に収まっていて、人の感覚生理に合っていないと操作自身が不正確になってしまって予定した適切な加速度が生じない。 操縦系インターフェースの項参照。

Comfort 快適な前後左右加速度
人の感覚生理
人の感覚生理
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