車の運転とDriver Model 人の運動逆モデル Bio-Motion 横方向の運転のモデル化例 リバースステア 強US車両の挙動 弱US車両の挙動 バイモ研 運転行為/Weber則関連 車の運転の物理 Bio-Motion Equation の環境対応、具体的なパラメータ例 Human-Motion Control Model Skilled 逆モデルによるドライバーモデル
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生き物の運動制御と車の運転
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車の運転 : 横方向の運動制御


車で 人の動き
  x" = a - C x' を実現する

Professional Driver Model 「弘法」  


Forth

始めに今回作成したドライバーモデルによるシミュレーションを見ていただきます
      

4WSのシミュレーションも追加したが、この二つのシミュレーションから2WS車の運転の本質が分かる



CarSim車両 (Mechanical Simulation社)




4WSのレーンチェンジも簡単にシミュレーション可能、運転は2WSより簡単、
 2WSでは上の動画で分かるように左に素早くレーンチェンジするため後輪を素早く左に向けるには、
重いボディーごと後輪を左に向ける必要があるのに対して、4WSでは車輪だけ左に向ければ良い



運転行為と運転モデル


車の運動力学の名著「基礎自動車工学」の著者近藤政市(元東工大教授)は

人間と一体になってこれほど意のままに動く機械はないと、

「私は、自動車は半人格を持っていると考えており、

自動車のことを「半機械人間、半人間機械」と呼ぶことにしている」言っています。


元東大生産技術研究所教授、自在研初代所長の平尾収

人間と自動車を一体と考え「人動車」
と言っていました。 


 元F1レーサー中嶋悟は楽器演奏に例えて、人車一体の感性を揺さぶるものでなければ成らないと。


 車の動きは人の動きなのです。


名人が操縦する乗り物の動きは人の動き

身体の中にある理想運動
α

環境に合わせながら、車両の運動
αとして実現





Vehicle Motion is Human Motion  乗り物の動きは人の動き


 

運転では、車の操縦特性である物理的な入出力特性を習得し、車を自分の身体の一部のように扱って、交通環境に沿って自分の思うように動かす。





 図に示す運動αが環境に沿って、ヒトの意思に沿った思うような運動を実現することになる。

 この運動αは環境位置で環境に合わせた速度を実現するが、それを滑らかに実現する加速度αはヒトの感性に沿ったヒトの運動逆モデルで実現される。

 この運動を実現するには ”車の運動モデル” と ”ヒトの運動モデル” が必要になるが、車の運動モデルは黒子で表には出てこず、これから記述するのは運動自身を表現する人の運動モデルに成る。


Professional Driver Model プロ ドライバー モデル
ドライバの頭の中にある運動 α は
運動 α を生じるハンドル操作 δ を
練習で獲得したVehicle
Inverse Model から得て、
この操作δが車に与えられることにより、
車の運動 α として実現される。


 走行時、搭乗者に加わる慣性力を人の感性に合わせてコントロールするが、縦方向の運動は前のページで述べたとおりで、 ここでは 横方向の運動α の具体例について記述する。



1.交通環境に応じたヒトの運動逆モデルαの作成

 

 

走行時、搭乗者に加わる慣性力を人の感性に合わせてコントロールするが、縦方向の運動は前のページで述べたとおりで、 ここでは ステアリング操作で行う横方向の運動α の具体例について記述する。

 横方向だけの運動のレーンチェンジ、進路変更、円旋回の具体的なαの方程式を作成する。

 作成したαの式を車両逆モデルに与えてシミュレーションを行い、ヒトでは運転の困難な強いアンダーステア車のリバースステア時のハンドル捌きを リバースステアのページで明らかにする。

 下図に示す車の運動方程式の右辺一項目の α の運動方程式を走行環境ごとに作成する。


1-1 レーンチェンジを行う人の逆モデル例


レーンチェンジは横方向だけの運動と考え、横方向にレーン幅だけ移動、移動後の横方向速度はゼロ。
  
に当たる人の感覚に沿った横方向加速度α(t)の運動は

      (5)

Lはレーン幅、T、ε,εεは微少な定数

この場合ハンドル操作が必要なので、yの加速度を発生させる操舵角δを算出する車両運動逆モデルが必要になる。

    (6)

式(6)に式(5)の y を代入したものがレーンチェンジのドライバモデル。

 

 

1-2 進路変更の人の逆モデル例(図3

 

  斜め方向からの横向きの力を考えて、角度γ(ガンマ)だけ偏向した偏向路と車両の距離をS、偏向開始位置X1 、現在位置(y、x)として、γだけ偏向した進路の式を、

               

変形すると、

この直線と、車両位置(x、y)の距離Sは、

       


変形して符号を変えて(このままでは原点(0.0)側の距離Sが負になっているので)、

             

* 

 

横加速度S”を得る求心加速度αの関係は、αとSのなす角が π-γ-θ-β となり、

変形して、

 

符号をCarSimと合わせるため、

発生に必要なαは、

とすると、

人の運動αは

  (7)

車両運動逆モデルにこのαを与えた

が偏向のドライバモデル。

 

1-3 円旋回の人の逆モデル例(図4)

ヨー方向の運動をコントロールして進路を維持している場合の公転運動の角速度ψを見込む、人の感覚に沿った角加速度ψの運動は 

          (8)

ターゲットをψTとして、立ち上がりを緩やかにするよう Exp-1 を加えて、

道路内側半径をR0、車と旋回中心の距離をL、旋回目標半径Rtとすると、車両位置からR0の円弧に接線を引いて、接点を見込む角度φが、旋回目標半径Rtの位置からR0の円弧に接線を引いた場合の接点を見込む角度φTが一致するようにコントロールして、走行位置を半径Rtの位置に安定させる。

          (9)

(10)

公転のヨー角速度ψは横加速度αに対して α=vψ(v:速度)の関係があるので、このαを車両逆モデルに与えた

               (11)

が円旋回のドライバモデル。

 

1-4 カーブ進入走行の人の逆モデル例(図5)
 
実際の運転では、いきなり円旋回するのでは無く、カーブ直前でカーブの方向に進路変更して、カーブに入ってから円旋回するので、図5に模式図で示すように、 1-2節の進路変更 + 1-3節の円旋回 のドライバモデルを直列につないだ形になる。


 

2. ドライバモデルによる運転シミュレーション

 ドライバモデルはMATLAB/Simulink、車両はCarSimを使用。

 

2-1 レーンチェンジ例動画はページ先頭



Lwidth=3.5  Tc=0.1  a=100  p1.05  ε=0.25

正確に3.5mのレーンチェンジを時速200km/h で滑らかに実施しているのが図6から分かる。
 このページの最後にレーンチェンジの詳しいグラフデータあります。


2-2 左へ150度進路変更例

前方の150度偏向する道路に180km/hで進入(図7)。


 

2-3 円旋回例

150km/hでいきなり300R<定常円旋回に入った場合のシミュレーション結果を図8


 

2-4 カーブ進入走行例(4ページに動画
カーブ進入前の100m助走で、カーブ方向に進路変更し、求心加速度1Gでカーブに進入


 

2-5 4WS車のレーンチェンジ 動画はページ先頭

同相4WSの逆モデルは、平面運動の運動方程式と車体の回転の運動方程式を連立して前輪舵角δf、後輪舵角δrについて解く。横滑り角β項省略、ヨーレートω寄与拡大修正。


11に示すように車体を進行方向と平行のまま0.8g程度のレーンチェンジを200km/h で滑らかに実行している。

 


 
                使用した逆モデル


車両運動逆モデル

 操縦性をシミュレーションする場合、旋回時の前後輪での左右荷重移動を考慮したKf、Krが必要。
   δ = (m )/(2 Kf ) α  + ( 1 + Kr/Kf  ) β    

     コーナリングパワ Kf、Krは旋回外輪への荷重移動を考慮したものが必須
      Kf=Kf0+εf ((Rf φ+mf hf α)/Tr )^2  Kr=Kr0+εf ((Rr φ+mr hr α)/Tr )^2


  (δ:操舵角 、m,mf,mr:質量 Kf、Kr:前後タイヤのコーナリングパワ εf :荷重依存係数 α:横加速度 φ:ロール角
      hf,hr:前後ロールセンタ高 Rf、Rr:前後ロール剛性 β:車体横滑り角(実車から得る))

車両運動式も含めて見やすい普通の数式表現




人の運動逆モデルWeberの法則から導かれた式

 人の感覚の法則から導かれた運転の匠、名人の運動方程式

Weberの法則から導かれる、加速度をコントロールして見込んだ速度a/Cを実現する逆モデルの形をした、最も簡単な2次の微分方程式の形を取る。  
 α  =  y"  =  a - C y' 

 人の感性から導かれたこの式は、中嶋悟の、人車一体の感性に沿った運転を実現する方程式になります。 そしてこの運動は人の運動ですので前後左右上下のどの方向にも適用出来ます。




            

パターン詳細は前ページ(Bio-Motion Control Equation 運動方程式)で示されたものになる
















 




 



2009年06月22日 21時01分





CarSim/MATLABを使ってProfessional Driver(AI ドライバ) 「弘法」の運転を実現する









ブロック図はMATLAB/Simulink、赤の車両はCarSim車両、赤点線枠がDriver Model(ドライバ モデル)、その中身が手前でαが運動逆モデル、逆モデルが車両逆モデル。



AI ドライバモデルによる運転例:レーンチェンジ (CarSim + MATLAB/Simulink)

CarSim (Mechanical Simulation社)




車の運転とDriver Model 人の運動逆モデル Bio-Motion 横方向の運転のモデル化例 リバースステア 強US車両の挙動 弱US車両の挙動 バイモ研 運転行為/Weber則関連 車の運転の物理 Bio-Motion Equation の環境対応、具体的なパラメータ例 Human-Motion Control Model Skilled 逆モデルによるドライバーモデル

バイモ研